その後はこんな本をススメてもらっていた (戯れ就職祝い 夏から秋)
実は気になっていたのである。
もしかすると、「その後のその後」を待っている人がいるのかなー、とか。
……が。
本音のところで、わたしの気力が萎えてしまい、例の話はなかなか進んでいなかったのであった。以下、なぜわたしが足踏みしてしまったか…の、いいわけ及び責任のなすりつけである。
律儀でいい人からのオススメ本は、この数ヶ月、低迷していた。
海音寺潮五郎「孫子」、山本甲士「かび」……ときたところで、「かび」についていけないものを感じてしまったわたしである。だって。あまりに腹黒かったのだ。下手なOUTみたいで気持ち悪いばっかりだし。
その次にきたのが、打海文三「そこに薔薇があった」。律儀でいい人の説明によれば、
項番34678に抵触していそう、ってほとんど全部じゃん、と言われそうです。(/_\;)何気なく、純文&エロティックな感じがしたので(・_・|読んだのが始まりですが、なかなかとっつきにくい文章で、こんな女性いないよねーという短篇集で、途中で一度あきらめかけました。が、最後まで読んで・・・あらまぁ、項番9にかけろー!? ……撃沈か?
だそうで……ここにきて、はっと気づいたのだが、律儀でいい人はもしや、わたしの趣味をなんだか勘違いしてないか?
これを読むと、なんだか律儀でいい人は、一生懸命、中山可穂もどきを探しているようである。違う! と声を大にしていいたい。可穂さまは唯一無二の存在であって、わたしは別に、あの人以外で恋愛小説やらエロティックな香りの漂う文体やらを読みたいわけではないのだ。
(だが、ふといまになって思ったが、わたしと律儀でいい人が毎日顔を合わせていた時代ってのは、わたしが「SMは純愛だ」とか「エロティックな文章を書きたい」とのたまっていた勘違い時代だったりもして……もしやそういうことにとらわれている可能性も……? 若気の至りなんです、忘れてくださいよ、あれから20年もたってんだからさー)
そんなことをぐじぐじ考えていたら、次に送られたきたのは「美味礼讃」。試行錯誤ぶりがうかがえる選択である。
しかも、律儀でいい人には申し訳ないことに、この企画を知った別の方も新たに参戦(?)してくださって、「ダイヤモンド・エイジ」というとんでもなくスゴイ本との出会いがあった(なにせ作者の別の本「クリプトノミコン」にまでのめりこんでしまったわたくしである。SFの趣味がいいですね、Westさん)。
ともあれ、そうやっていま、わたしの部屋には、律儀でいい人にススメられた本が、読まれないままに積まれている。……ごめんなさい。今日から心を入れかえて読みます。
(『そこに薔薇があった』は、ラストの思いがけなさがよい。『美味礼讃』」は途中で何度も泣きそうになってしまうほどの感動作。律儀でいい人オススメで泣けるとは思わなかったなあ……)
さて、オススメしてもらうからには、わたしが現在どんな本を読んでいるかを知っていたほうがよかろう、ということで、「シャングリ・ラ」読んでます、とか「うらなり」読んでます、とかメールしてたのだが、律儀でいい人は、ほんとに律儀なので、それらを結構読んでいたらしい(これにより、わたしが未読のオススメ本を探すための時間を、わたしがススメた本を読むために失っている)。そしてある日、「坊ちゃんを読まぬ男 うらなりを読むの話」というタイトルのメールが送られてきた。
タイトルだけで充分に笑えたのだが、中身もかなり笑えた……し、きっとこんな他愛のない文章を読んでいる方々は、「律儀でいい人っていったいどんな人?」って思っているかもしれないので、律儀でいい人の人柄がわかるかもしれない、ということで、その全文をここに掲載する。
「坊ちゃんを読まぬ男、うらなりを読むの話」
私は坊ちゃんを読んだことがない。
ちなみに我が輩は猫であるも同じである。
名前はまだ無いとかは知っている。
東京新聞で最近我が輩は猫であるを再連載しているが
結局読んでいない。
ある日うらなりというものの話しを聞いた。
坊ちゃんにでてくるうらなりとかいう男の話らしい。
坊ちゃんとかいう江戸っ子については、国語の副読本なるものに
細かく解説されているので、存在とあらすじと登場人物については
知っていたがそれ以上でも以下でもない。
こころについてはちゃんと読んでいるので特段夏目某嫌いというわけ
ではないし、新潮文庫の百冊の変遷については興味をもっているので
それに入っているのも知っている。ただよんだことがないのである。
それでもアニメ坊ちゃんとかをTVでみた記憶がある。
最後に坊ちゃんが船で松山をでるときに中学生達が偽マドンナとなって
見送っているシーンをみた記憶がある。本当にそうだったのか。
いまとなっては記憶があいまいである。
さてうらなりを読み終わったが、坊ちゃんの顔がみえてこない。
最後にマドンナも見送らない。あれはアニメの上の脚色だったか。
(それともうらなりを見送るの勘違いか)
しかしうらなりくんはいろんなひととお見合いをしているし、
とてもよさそうな人と結婚するし、マドンナの指は太くて荒れているし
わりといい人生な気がする。
これから太平洋戦争だとか、酒の飲み過ぎとかという暗い予感があるけれど。
しかし坊ちゃんの名前が結局判らない。
くやしいので坊ちゃんを読んでみた。
名前はやっぱりない。坊ちゃんは猫だったのか。
世の中には『坊ちゃん』を読んだことのない人がいるのか、というのは驚きであったが、まあ、教科書に載ってるからって、全文を読むわけではないのだろう。世の中、自分を基準に考えてはいけないという、いい例である。そういえばわたしは以前、寝袋で寝たことがない人と話をしていて、「うそ、なんで?」とまで口走って、大いに顰蹙を買ったものである。だが、おそらく誰かにとっては、わたしが○○をしたことがないとか、××をした ことがないとかいうのは、きっと驚きなんだろうと思うので、お互い様である。
とはいえ。
まあ、こういう感じで、細々とではあるが、律儀でいい人の就職祝いは続いている。めでたく10冊到達のあかつきには、なんらかのお祝いをしなくては……と思っているこのごろである。
しかし、もし四度めの就職祝いがあったとしたら、それはもう、こんなややこしいものにはしない……ハッピーマックセットでもおごってください(庶民)。
備忘録 これまでススメてもらった本
@「きもの」 A「カエサルを撃て」 B「侍女の物語」 C「孫子」 D「かび」 E「そこに薔薇があった」 F「美味礼讃」
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