戯れに就職祝いをねだってみる
2006年4月から3度目の就職が決まった。といって、3度目ともなると親も祝ってはくれない。
そんな中、「就職が決まったんだよお、祝ってよお」という我儘に、知りあいが就職祝いをしてあげよう、といってくれたのである。わーい、やったあ。と、それはありがたかったのだが、改めて「ほしいもの何かある? どこに行きたい?」と問われても、とりたてて欲しいものも行きたいところも食べたいものもない(というか、わざわざその人にしてもらうほどのことじゃない)ことに気づいてしまった自分。つくづくつまらないヤツである。
ということでしばらく放っておいたら、2月半ば、「そろそろ2月も半ばになりますが……どうする?」とさらに訊いてきてくれた(律儀でいい人なのである)。
そこでさんざん考えた結果、わたしの欲しいのは「モノ」じゃないな、と思ったので……こういうことにしてみた。以下、わたしからのメール。
「では、わたしが気に入りそうな本を10冊(厳しい条件)ススメてくれる、ってのはどうでしょう。
プレゼントしてくれる必要はないです。ススメてくれるだけ(もちろん、ススメるだけの理由明記)。その代わり、ススメてくれた本をわたしが既に読んでいた場合には、代わりの本をススメてくれなくてはいけません。
んでもって、わがままなことに条件がいくつかあります。
@絶版本は「どうしても」というとき以外はやめてください。
A80年代後半以降の海外SFは、趣味にあうものとあわないものが激しいので気をつけてください。
Bミステリはよほど上手なものじゃないと、途中でネタ割れすることが多くて、最近つまらない思いをしています。
C恋愛小説に関しては好き嫌いが激しいです。
D海外ものの場合には訳が上手なものにしてください。
E日本のものの場合には、もちろん文章が上手なものにしてください。ちなみにわたしは森博嗣の文章は嫌いです。そもそも日本作品をあまり読みません。
F基本的には「淡々と」したものよりも、「わくわく」読める本が好きです。
G短編集でもかまいませんが、収録作品のレベルに あまり差がありすぎるものは好ましくありません。
H文章がへたでも構成がむちゃくちゃでも、「語れる」本であれば最高です。「語れる本」というのは、例えば「大いなる旅立ち」とか可穂さまの本とか「フィーヴァードリーム」とか「真夜中の相棒」とか、なんだかムチャクチャな話だぜ、オイオイ、っていう本なのに、なんとなくの魅力がある本。この手の本をススメてくれたら大感謝!
(ただし「語れる本」と「ダメな本」は紙一重かもしれません)
わたしの出した条件を要約すれば、「絶版になっていない海外SFか海外ミステリで翻訳者がしっかりしているもの」か「わたしの苦手な日本SFとか日本ミステリでも『スゴイ』と思わせるようなもの」で「息をつかせぬおもしろさ」があって「とんでもなさが魅力」の本、ということになる。もしくは、SFでもミステリでもない分野で、この条件を微妙に外しつつも「これは違う」といわせない本、ということになるだろうか。
とはいえ、当初「なんでもいいよ」といっていた律儀でいい人もさすがにしばらく沈黙してしまった(ま、それはそうだろう)。。
こりゃ「違うものにして」っていってくるかなと思いきや、
「誰かさんのサイトで次に何を読んでみようかって考える人に向かってなんて注文だよ!」
といいながらも、
「まあ、普通のお祝いを想定していたので、とんでもないプレゼント要求を読み返して笑ってしまいましたが」と笑う余裕すらあったらしい。
そして、確認メールが送られてきた。
「プレゼントの決まり事を1つ確認。「気に入りそう」とすすめて、「未読」としても「9つの条件にあわないと君が判断」したら当然それはススメる10冊からは除外されるの?(「その通り!」と返信がくる気はヒシヒシとしているんだけど とりえず聞いてみよう!と思いました)」
まあ、わたしの返信は件名自体が「そりゃあもう」だったのだが、ま、追加として、
「だって、「未読」の本の中には、よそのサイトで書評を読んだけどナットクできなかったとか、その人の他の作品を読んであまり好きじゃなかったとか、単にタイトルと作者名が嫌いだとか……いろいろ理由があって「未読」だってのがあるんだもん。 それらの本は当然「却下」で。
ま、ヒット率を上げるための情報提供をすれば、古川日出男の文章はあまり好きではありません。東野圭吾程度だと「ふつう」。時代小説はある時期とてもはまっていたので、かなりの量を既読しています(ってか、図書館に多いんですよね、時代小説の類)。SFの好みはおわかりかと思います」
さて、これでどんな本を紹介してくれるのだろうか。
話し合いの結果、通販のように毎月1冊ずつ、10ヶ月のあいだ本を紹介してくれる、というところで妥協(ただし、わたしの既読冊数が増えていくので、これも問題アリのような気もするのだが)。
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