「しょうがないことだらけじゃないかよ。この世の中で、おれたちの思い通りになるkとなんて、どのくらいあるんだよ? そりゃあ、全然、ないなんて言わないけど、ほとんど、ないだろうが……ないだろう、違うか? おまえは、おまえの思う通りに生きてんのかよ。そんなおめでたいこと、能天気なこと、本気で信じて生きてんのかよ」
「The MANZAI 3」 あさのあつこ
秋本貴史が夢中になっている夏祭り特設ステージでの漫才だが、夏祭りそのものが中止との噂が流れる。予算削減という大人の都合で自分たちの夏祭りがつぶされていいのか? コンビを組む気もなければ、夏祭りがつぶれるのだってしょうがないことだと思う歩をよそに、いつものメンバーが立ち上がる。けれど、いつもは発光しているかのように元気な萩本恵菜の様子がどうもおかしい……
「2」の直後の物語。今回は秋本と歩以外の恋も絡み、中学最後の夏にかける少年少女の姿があざやかに描き出されている。
が、しかし。
話のメインは、もう完全に秋本と歩の恋なのである。
「歩、おれは誓う、何があっても、おまえへの愛は不滅だ。たとえ、地の果てへと引き裂かれようと、おれの魂は必ず、おまえの傍らに留まり続ける」だの、
「おまえの顔見ただけでテンション、最高値まで跳ね上がるんやで」だの……どうしちゃったんでしょう、この展開は。
思うに、歩の一人称で秋本を描写するのにも問題があるような気もするのである。
ぼくは、時々、秋本に見惚れることがある。
とかさ……そりゃ、見惚れたくなるような表情をする秋本くんですが、それを歩視点で書いたらキケンでしょう(笑)。
ということで、怒涛の三巻。男性にはあまりススメられないような気もしますが……知り合いの女性陣には大いにススメたい作品。
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