カエサルを撃て。ヴェルチンの命令は、ひとつだった。文字通りに、カエサルを撃て。
「カエサルを撃て」 佐藤賢一 中央公論新社
幼い日、部族の首長だった父ケルティルを目の前で処刑されたヴェルチンは、長じてのち、多くの傭兵たちを引き連れてふたたび故郷へと戻ってきた。ガリアの人々を団結させ、ローマ軍と対抗するために。筋骨隆々たる若者、金の髪を持つ驚くべき巨漢。金色に輝く姿は光の神ルーゴスのよう……ではあるが、いかんせん甘やかされて育ったせいで、よくいえば正直、悪くいえば欲望に歯止めがきかない野放図な悪たれとなって。ときには思いがけないほど残酷なことを平気で仕出かすヴェルチンだが、彼の戦略に間違いはなく、ガリアの人々は否応なしにローマ軍との闘いに巻き込まれてゆく。
律儀でいい人の就職祝い、実はこれがほんとの一冊め。
最初、いったんです、わたし。佐藤賢一はあまり好きじゃないと。でも、どういうきっかけで嫌いになったかは忘れちゃったし、嫌いだといっている作家をあえてススメるんだったら、よほどいいのかもしれないから読みましょうと。
……やっぱダメだった。
まずだめなのは、強姦シーンが多いこと。女性が踏みつけにされるシーンも多いし、「時代だからしょうがない」みたいな男の思い込みみたいなのが筆から感じられる。ってか、セックスシーンが全般に汚い。わかりましたよ、佐藤賢一が苦手な理由。生理的にあわないんです。
ということで、女性の尊厳が踏みにじられても「時代だから」と思える人、やけに生々しく汚い描写があるセックス描写でも「本筋じゃないところなんだから大丈夫」と思える人にはオススメです。わたしはもう、二度と読まない。
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