「はあい」
 スクリーンにユリが映った。ユリはにっこりと微笑んで、ひらひらと手を振っている。
 こちらに比べると、向こうは夢のように明るい。
         
 「ドルロイの嵐」 高千穂遙 ソノラマ文庫

 以前ダーティペアはオススメしたと思うのだが、ラブリーエンゼルという可愛らしい名を持ちながら、ダーティペアの通り名の方が有名なこのふたり。ユリとケイ。WWWAトラコンという身分のもとにやりたい放題、あっちこちの惑星を壊滅しまくるトラブルメーカー。片や、クラッシャーダン。のちに活躍するジョウの父(とはいえ、この段階では独身。まだ若い)。ならず者集団扱いされていたクラッシャーをとりまとめ、厳しい戒律を課した人物――つまりは、かたい。
 ダーティペアシリーズはお色気と偶然とチカラ技で押しまくるが、クラジョウシリーズはどちらかというと襲い掛かってくる不運に地道に(ときには派手になるが)契約どおりに対処していこうと努力するお話なので――このふたつが合体すると、クラジョウシリーズ(といっても、登場するのは繰り返すが、のちにジョウの父となるダン)側はどっぷり疲労につかることとなる。
 小娘ふたりにふりまわされ、ため息つきながら活躍するダンがいい。今回のお話で、ジョウの宇宙船に乗り込んでいるロボット、ドンゴや、クラッシャー専用の全身武器となるクラッシュジャケットなどが初登場したときのエピソードなども語られる。とりあえず、クラジョウシリーズを読んだらここまでこなくちゃね、という話だが……本編9冊、外伝2冊。って、やっぱりオススメするには長いかしら? エターナルチャンピオン・シリーズ(エルリック、コルム、エレコーゼ、ホークムーン)よりはましよね?(比較するなという話も……)。



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