「クラッシャーってのは、むちゃくちゃな作戦を立てる」
首を左右に振って、ぼやいた。
「気にするな」困ったような表情で、バードが弁明した。
「ジョウがとくにむちゃくちゃなんだ」
「銀河帝国への野望」 高千穂遙 ソノラマ文庫
クラッシャーは、遊星や宇宙塵塊の破壊、惑星の改造、宇宙船の護衛、救助、惑星探査、危険物や重要物の輸送、捜索などを生業とする宇宙生活者である。宇宙開発の初期、忽然とあらわれ、壊し屋の名のとおり、惑星改造のために遊星等を壊すことが主な仕事であり、ならず者の集団に近い存在だった。それを組織化し、高度な技術者集団に変えたのがクラッシャーダン、現在は引退し、クラッシャー評議会の議長を務めるジョウの父である。
ジョウはクラッシャーダンのひとり息子とし、十歳のときからクラッシャーとして活動している、現在十九歳。ジョウのチームにはクラッシャーダンからジョウを預かり、サポートしている年配のタロス、元ピザン王国王女のアルフィン、小柄だがいきのいい機関士リッキーで成り立っている。彼らは優秀なクラッシャーとしてさまざまな任務をこなし、今回は銀河連合首脳会議に出席する主席ド・テオギュールの護衛を依頼された。しかし、下見を終えたジョウたちにふりかかってきたのは暴行殺人の嫌疑。さらには拘引された警察署が爆破され、大量の死者が出てしまう。暴行殺人、警察施設の破壊、職員の大量虐殺、さらには主席に対する暗殺計画、海賊との共謀――身におぼえのない容疑をかけられ、逃げ惑うことになったジョウたちは、自らの嫌疑を晴らすために立ち上がる。しかし、息子の始末をつけるために、引退したクラッシャーダンもまた宇宙へと飛び出してきていた。
クラッシャージョウシリーズ、5巻目。なんと、「改訂新装版」である。ということで、昔のクラジョウが手元にないから比べられないのだが、一巻目などは大きく変わっている、らしい。が、スピード感、むちゃくちゃぶりは、たぶん変わっていないはず。ダーティペアのようなユーモアはやや影をひそめているが、逆に深みがあって面白い(ついでにいうと、ダーティペアシリーズとクラジョウシリーズはクロスしている部分があるのです……)。外伝に、ジョウの父であるクラッシャーダンのお話がありまして、わたしなんかはどっちかっていうとジョウよりは断然クラダンびいきなので、今回、悩みに悩んだ末に、この5巻をオススメすることに。だってクラダンが出てくるんだもん(笑)。
かっこいい話が好きな人にはオススメです。
(次回はクラダンのお話をオススメすることにしちゃいました)
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