“If we have more time before we need our commander,”she said,”then, do we have time for him to marry and have children and then the children grow up enough to be the right age?”
                                 “FIRST  MEETINGS Orson Scott Card


 John Paulは5歳。ポーランドのカソリック家庭に育った彼は、大家族の7番目の息子だった。Hegemonによって2番目の子どもまでしか学校に行くことを許されない(そもそも、存在することさえ許されない)ため、家で母親による教育を受けていたJohn Paulは、すでに大学生でさえてこずるような本を読める聡明さを見せていたが、両親はそんな彼の才能には気づかず、ただ本のページをめくって遊んでいるとしか思っていなかった。しかし、Wieczorek家の子どもたちをテストしにやってきたI.F.の軍人が、彼の才能を見抜かないはずもなかった。Battle Schoolに行くことを拒み、I.F.の大人たち相手に取引を持ちかけるJohn Paulに、Captain Graffをはじめとする軍人たちは期待をかける。John Paulが手に入らないのならば、その子どもたちなら。それでもまだ間に合うかもしれない……
 短編集。
 Enderの両親、John PaulとTheresaの若き日の物語。特にJohn PaulはEnderとほぼ同じ年齢から描かれているので、思わず比較してしまうし、彼の兄弟の中にボス面をしたがる兄貴のPeterや、よき理解者のAndrewなんていう名前も登場して、思わずにやり。
 さて、I.F.の思惑どおりというべきか、John Paul はTheresaと出会う。自分よりも優れた女性を愛することのできるのは強い男だけ云々という、カードらしい台詞も登場する。とはいえ、彼らがI.F.の思惑にまったく気付いていなかったのか、といえばそうでもない。
“What if we find out that it’s true? That they really are pushing us together?”
“So what?”

 もしかしたら、という恐れをかかえ、だから何だ、とひらきなおる。このあたり、さすがWiggin(John Paulはアメリカにきて、WieczorekからWigginになる)。それにしたって、Shadowで本性を現してから、ついに短編とはいえ主役を奪うとは、この両親、さすが。長編版Ender’s Gameで平凡な両親だったなんてことが信じられない。
同じ本の中に、短編版Ender’s Game とInvestment Counselorの二作が収められている。



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