I know who wrote it. If he can speak for the buggers, surely he can speak for me.
                Shadow of the Giant      Orson Scott Card

前作、Shadow PuppetsでようやくAchillesの恐怖政治から解放された地球だが、かといっていったんばらばらになり、自国のために立ち上がった、いわゆるバトルスクール卒業生たちがそのままですむわけがない。
 物語はかつてHot Soupと呼ばれていたHan Tzuが中華皇帝になるところから始まるのだが、前作でも力を見せていたAlaiはやはりCaliphなのだし、Virlomiにいたってはすでに女神のような存在と化している。バトルスクール卒業生ではないPeterにHegemonとして彼らをまとめることができるのか、人種も宗教も思想もばらばらな人々をまとめ、戦争のない世界を造りあげることはできるのか。まだ幼いともいえるバトルスクール卒業生が真に自由になる場所は地球上にあるのか、それとも宇宙か……物語はそのような政治的な動きを追う一方で、前作で盗み出されたBeanとPetraの子どもたちを探し求める物語ともなっている。
 彼らも年頃になってきてしまっているので(笑)、力を持つ者が女性と男性とふたつの性にいれば、当然のように政治的な結婚という図式が生まれてきてしまう。……それにしてもねー。まさか彼がだまくらかされてしまうとは(いや、別にだまされたってわけでもないのだろうが)。
 今回はBeanよりも周囲の物語が中心であったし、やはりPeterの物語であるという色が強かったと思う。前回の感想のときのもちょっと書いたのだが、やっぱりPeterはEnderが思っているほどひどい人間じゃない、というか、彼は彼なりにすごく考えているということがよくわかる物語となっている。相変わらず、Enderの話がぜんぜん出てこないで両親と話ができた、とかいうだけで泣いてるし(やっぱ可愛い、コイツ)。優秀すぎる弟を持ってしまった兄の悲劇とでもいいましょうか……
 それにしても。今回は懐かしい台詞がてんこ盛でした。上にあげたものの他に、
 "As my old friend Ender Wiggin used to say, Rajam, the enemy's gate is down."
 とか
"To know the enemy well enough to defeat him requires that you know him so well you can't help but love him."
 だとか。
 これでShadow系シリーズも終わり、だと思うのだが……まだ解決されずに残っているネタもあるようなないような。
 まあ、代弁者系とつながったので、もしかしたらそちらで語られるのかもしれません。
 今回の作品は、Ender's Gameに直接つながる部分もあったので、最初から読み直したい、と思わせる作品でもありました。
 それにしたって、発売、遅すぎです。
 ハードカバー、ソフトカバーになってから、ペーパーバックになるのが遅い!!! あまりの遅さにいったん予約キャンセルしちゃったくらい。もしかすると邦訳がそろそろ出るんじゃないのか……(爆)。

「激しくネタばれありGiant」




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