番外編。記憶喪失なワタクシ
サインをしてもらう本と名前の書いてあるメッセージカードを可穂さまに渡す役をしている女性がいた。どこかで見たことがあるかなー、と思っていたのは、事実。ただし、中学時代の同級生に似ているなあとか、前の職場関係の人に似てるかなあとか、あとになってみるとぜんぜん違うことを思っていた。
さて、話はややずれるが、わたしの名前は、変わっている。名字が同じ人に親戚以外で会ったことはないし、東京都の電話帳にはそれでも7軒くらいはあったかなあ・・・・・・というほどだ。実は名前のほうも同じ名前の人がクラスや学年にいたためしがない。芸能人には字も同じっていう人がいないわけでもないのだが、まあ、珍しい部類であることは事実。そんな、珍しい名字と珍しい名前が組み合わさってしまえば、忘れられないことは確かだ。悪いことは出来ない、と思っている。新聞やTVに出ようものなら、一発で他の誰でもなくわたし、ということが特定できてしまうもの。
というわけで、わたしが本とメッセージカードを渡すと、そこに立っていた女性が・・・・・・
「○○でしょ! ○○××!」
とわたしの名前を叫んだのは、まあ、当然といえば当然だったのかもしれない。そりゃあ、この組み合わせの名前を見ちゃったら、別人だとは思わないだろうし。
「きゃー、おぼえてる?」
「おぼえてるよーっ(大嘘)」
実はこの段階で、わたしは彼女のことをさっぱり忘れている。が、口からでまかせとは恐ろしいもので、
「わー、元気―?」とかやってしまっているわけだ。
彼女、ポケットから名刺を取り出してくれる。その名前・・・・・・げ。読めない。
彼女もまた変わった名字の人で、それを見た瞬間に、あ、この漢字の組み合わせには覚えがある、とは思った。が、読めなかった。慌てて裏返すとローマ字が書いてあって、それで読みがわかったからいいのだけれど(よくはない)。
「メールするねー」
とかいいながら、やばいよなー、マジ。とかとかとか。うーむ。
のち、彼女とは高校時代一度も同じクラスになったことがなかった、ということが判明し、わたしの記憶力の穴もある程度仕方ないような気もしたが、それでも問題はその当時、国語科の教員を巻き込んでクラスや学年を越えてやっていた同人誌の仲間だった、ということ。どうしてそんなことさえ忘れてしまっていたんだろう・・・・・・――
以前は記憶力を自慢したこともあったが、反省。どうも、穴あきチーズのように、ぼこぼこ抜けている部分があるようである。ふう。