――物語のあらすじ
 男は合コンに参加する。約二時間のごく普通の合コンだった。楽しい会話とはっとする出会いがあるものの、人生は変わらない。もちろん、世界も変わらない。
         「合コンの話」伊坂幸太郎(「Story Seller 2」所収) 新潮文庫

 二十七歳の誕生日の日、尾花弘は、そのとき付き合っていた恋人がピアノコンサートに行く、というので一人になってしまい、ついついかつての悪友、井上の合コンの誘いに乗ってしまう。しかし、合コン当日、井上は急用ができたといって欠席。男同士は全く見ず知らずの三人が集まることとなってしまう。さらに、そのうちの一人、佐藤と名乗る男は、どうみてもぱっとしないおとなしい男で、尾花はなんだかとても不安になるのだが……
 「Story Seller」の第2弾。書いている作家の顔ぶれはほとんど変わらない。有川浩は常識もまともな会話もできない親族に苦しめられる日々を描き、佐藤友哉は東京タワーからビッグサイトへと場を移し、またまたあり得ないミステリを描き出す。近藤史恵は「サクリファイス」番外編。米澤穂信と本多孝好は、それぞれに血のつながらない親子、家族の姿を描くが、母親と娘、父親と娘という書き方からなのか、やはりこれが作家の特徴なのか……同じようにほのぼのしている部分はあるけれど、話の内容はまるで違っていて面白い。
 というわけで。
 タイトルどおりに「おもしろいお話」が詰まった短編集。
 自分の好きな作家の部分だけを読んでもいいし、知らない作家の話を読んでみて、気にいったら他の作品に手を出してみる、という読み方をしてもいいと思う。短い話が好きな人、オススメ。



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