予想不可能なことといえば、これから先、わたしたちは同じように未来の出来事に驚き続けることになるんじゃないだろうか(明日どうなるか、誰にもわからないのだ)。もしかしたら、予想もできない出来事で戦争が終わりになるかもしれない。
      
  「Tomorrow stage2  友の死」  ジョン・マーズデン(菅靖彦監修・二見千尋訳) ポプラ社

 戦争が起こってからのことを記録しよう、と言い出したのはみんなだったけれど、実際にエリーが書いたもの(stage1)を読んだことで、みんなの間がぎくしゃくしてしまった。フィはエリーがホーマーへの気持ちを黙っていたことに傷ついたようだし、クリスは自分の詩を意味不明なものと扱われたことに気分を害しているようだ。言葉の力のおそろしさに改めて感じいってしまったエリーだが、やってしまったことは取り返しがつかない。
 そんな状況の中、stage1のラストで背中を銃で撃たれ、意識不明のコリーを、恋人のケビンが病院に運んでいってからすでに一か月以上。捕虜になったとしても病人や怪我人は面倒を見てくれるはずだ……とは思うけれど、どうなっているのか状況をつかみたい。六人は危険を承知で、病院に忍び込むことにする。
 今回は、ゲリラ的にあちこちに忍び込み、橋を爆破させるなどの破壊工作を行ってきた六人のうち、クリスをのぞいた五人が町とは逆方向の状況を探りに行き、ハーベイズ・ヒーローという大人のキャンプと合流する。だが、少佐を名乗る小男のハーベイは高校生の戦果を評価せず、また、強烈な男尊女卑の思想でエリーを苛立たせる。しかも、どうやら自分たちがやったことは、単なる大げさな自慢話に過ぎないようで……
 仕方のないこととはいえ、人を殺してしまう。自分は変わってしまったのか? 戦争が終わったら、もとの自分に戻れるのだろうか? 不安や恐怖、その中で芽生える愛。極限状況に追い込まれながらも、なんとか気分を盛り立てようと、彼らが<私は憶えている>のゲームをするシーンなどは、逆になんでもないからこそ、感動的なシーンになっている。
 八人のうち、コリーとケビンは敵の手中にある。そして、六人のうち、今回、一人の友が失われる。短波ラジオから聞こえてくるニュースも、長引く戦争についてはトップの扱いではなくなってしまった。何とかしなければならない。……けれど何を? そして彼らは、ある一つの計画を思いつく。
 前作同様、それ以上にスピードアップした展開。これから彼らがいったいどうなってしまうのか。目が離せません。



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