「お、お願いって、いったい――」
「そこの死体をそのコントラバスケースで運んで!」
             
「ここに死体を捨てないでください!」東川篤哉 光文社

 ごく平凡な経理課事務員の香織。しかし、ある日、司法試験を目指す優秀な妹、春佳がついうっかり殺人を犯したことによって、日常生活が激変。そして、とりあえず妹を逃亡させ、死体の始末に奮闘する香織を助けるのは、偶然、近くを通りかかり、道に飛び出してきた香織に車をぶつけてしまった鉄男。それぞれに不穏な思いを抱きつつ、捨て場所を見つけるためにさまようふたり……。そんな彼らが行きついたのは、烏賊川市の背後にそびえる盆蔵山。だが、ようようの思いで死体を片づけた彼らを待ち受けていたのは、なんとも怪しげな連中。香織たちは知らなかったが、それは春佳に殺された山田慶子を依頼人とする探偵、鵜飼たちだったのだ――!
 ということで、烏賊川市シリーズ最新作。
 相変わらず、とぼけている。台詞のやりとりも脱力するほどに意味がないし、偶然のできごとも多すぎる。それでも、もうひとつの殺人事件がそれ以前の殺人に絡んでくるところや、あざやかな鵜飼の推理などは、いつもながらにお見事。
 あまり深く考えず、かる〜い気持ちで読むのがいいのだと思う。
 それにしても、今回の見どころ(?)は、階段を落ちるふたり。こういう書き方はアリなのか、そこからして突っ込みどころ満載。




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