「おれ、きのう疑問をもったんだ」
「ギモン?」
「そう。はてな? と思うこと。……おれって、どこらへんが、どんなぐあいにカタツムリなんだろう、って」
               「ともだちは緑のにおい」 工藤直子 理論社

 いるかとくじらに続いて、こちらはライオンとかたつむりとろばのお話。ライオンは鏡をみて「憂いの顔」をつくるのが好きで、ろばはぼんやりと立って風のまねをするのが好き。そしてかたつむりはうたをつくったり、日記を書いたりするのが好き。
 ライオンもろばもどちらかといえばぼーっとしているタイプなのだけれど、かたつむりはわからないことは辞書でしらべ、むずかしい言葉を使うのも好きだ。それでたとえば、
「いいうただねえ、かたつむり。……題は、なんていうの?」
「題かい? ええと『友情ぶかきろばとかたつむり』というのはどうかな」
「……『ブカキロバ』か。……すてきだ!」
 なんて会話がかたつむりとろばのあいだでかわされ、いつしかかたつむりのつくったうたは『ブカキのうた』なんて題になってしまっている。
 ライオンとろばだけだったら、「ともだちは海のにおい」と似ているだけだけれど、かたつむりが加わったことでぴりりとしたユーモアがプラスされたようにも感じられる。ところどころはいっているかたつむりの日記もいい。
 そしてやはり、最終章「えいえん」は最高だ。
 いるかとくじらに引き続いて、ライオンとろばとかたつむりのところにも、ぜひ遊びにいってみてほしい。あとがきで作者が書いている、ライオンとろばとかたつむりとのつきあいかたもまた洒落ている。


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