「あたし、王子様からは卒業します!」
「図書館危機」 有川浩 メディアワークス
……ということで、前回、高校生のときから憧れていた「王子様」が堂上教官であることを知り、がっくりきている郁である。といっても、そのがっかり落ち込んでいる気分をよくよく探ってみれば、堂上がもし王子様なのだとしたら、どうしてそれを自分にいってくれなかったの? とか、王子様の話をするたびに嫌そうな顔をしていたことから思い返してみれば……もしかしてあたしのこと嫌いなんじゃない? っていう意識のほうが強く、もしかするともしかして、あたし、王子様じゃなくて、堂上教官のことが好きなの? って気持ちになって、それはちょっとさびしい、とか思ってしまったり。
「図書館内乱」もかなり図書館ネタからは離れていたが、今回はまったくもって図書館とは関係のない話だと思ってかまわない。検閲語についてとか、昇進試験のための児童サービス云々という話とかもないことはないが、メインは相変わらず恋愛と軍隊。郁と堂上だけでなく、なんだか柴崎と手塚もいい雰囲気だし、小牧や玄田のような脇役の恋までちゃんと描かれていて、これは恋愛群像ものか! と思ってしまうことしきり。行政派とかなんとか、といっても、現場にいる人間にとってみれば、いまはアウトソーシング部隊にふれていないほうがおかしいと思うわけで(苦笑)。とりあえず、「図書館に似たもの」を舞台にしているだけなんだなーと思う。
といっても、前作でも書いたかもしれないが、いっそここまで図書館とは違う話になっていると、それはそれで許せてしまうわけで、わたし自身はこの話、やっぱり嫌いではない。……「図書館戦争」が出たとき、あれこれいっていた図書館界の方々も、いまとなっては苦笑して目をそらすばかりなのではないかと(笑)。
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