「ねえ、みなさん、こんなのむちゃですよ! 私――私は十七歳なんですよ。十七歳の女の子で、まだ高校生なんです。こんな女の子に、組長なんてつとまるわけないじゃありませんか!」
「セーラー服と機関銃」赤川次郎 角川文庫・岩崎書店
母を幼い頃に亡くし、いままた、大好きな父の貴志を失った星泉のもとに現れた黒服の男。ぼろぼろの車でぼろぼろの事務所に連れてこられた泉は、その黒服で長身の男、佐久間から、目高組組長になってくれと頼まれる。親分亡き後、跡目を継ぐのは親分の甥である貴志しかいなかったのだが、貴志が亡くなってしまったため、泉しか頼るべき相手がいないというのだ。最初は断った泉だが、佐久間をはじめとする四人の組員が後追い自殺でもしかねないのを見かねて、人助けのつもりで組長になることを承諾する。
ところが、泉が組長になった途端、事務所に機関銃が打ち込まれ、泉の自宅は荒らされ、しかも父の死は事故ではなく他殺という疑いまで浮かび上がってきた。いったい父は何をしていたのだ? 父の死後、突然現れたマユミという女性や、泉のファンクラブを自認する三人の同級生、周平、哲夫、智生、そしてもちろん目高組の組員の力を借りながら、泉は父の死の謎に取り組んでいく。
かつて映画にもなり、ドラマ化もされている赤川次郎のユーモアミステリー。シリアスな中にも、ところどころ笑いが散りばめられ、くすりと笑える物語。それだけに、最後はちょっぴり泣けてしまう…ってところが、さすが赤川次郎。
目高組組長の泉の活躍は、実は続編「卒業」でも読めます。正義の組長として、まっすぐに生きる泉の姿を、ぜひ楽しんでもらいたい。
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