――ぼくだって地球を救いたいのは山々だけど、自分なりの方法でやりたい。それをお父さんとお母さんがわかってくれるといいんだけど。
「宇宙への秘密の鍵」 ルーシー&スティーヴン・ホーキング(さくまゆみこ訳) 岩崎書店
ジョージの両親はシンプルで素朴な生活を好み、毒素や添加物や放射線といったものから息子を遠ざけて暮らしている。おかげでジョージは電話もテレビもなく、甘いケーキを食べることもない生活を強いられているのだ。しかし、なによりジョージが求めているのはコンピュータだった。そんなある日、ブタのフレディを追って隣の家に入り込んでしまったジョージは、そこで空想癖のある小さな女の子アニーとその父親エリック、世界一パワフルなコンピュータ<コスモス>と出会い、宇宙への秘密の扉を開ける。コスモスが連れて行ってくれた宇宙は、映像なのか空想なのかそれとも真実か……――ともあれ、エリックたちと知り合うことで、ジョージは科学の素晴らしさを知り、両親とは違った角度でものごとを眺める視点を学ぶ。それは自分たちが暮らすこの愛すべき地球という惑星をよりよく知るということでもあった。
車椅子の物理学者として有名なスティーヴン・ホーキング博士と、その娘であり作家のルーシー・ホーキングの共著。子どもたちにわかりやすく理論物理学を教えたいという願いから書かれたというこの本は、どきどきわくわくの宇宙冒険旅行でもあり、子どもたちの友情もの、果ては考えかたの異なる親子の歩み寄りを描いた物語ともなっている。理系の話だと思って敬遠していたら残念! 見逃せないオススメ本である。
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