「ねえ もしも神さまがあなたに『あなたの将来の夢のすべてをあなたの思い通りにしてあげるから、わたしとは別れて、死ぬまで絶対に会ってはいけない』と言ったら、どうする?」
「そんなこと言う神さまなら あかんべーするよ! うしろ足で砂をかけてね!」
「幸福な質問」 おーなり由子 新潮社
普通、質問というものは答えがわからないときにするもの。
でも、時に答えがわかっていても聞きたくなることがある。
この本の主人公は、仲のよい犬の夫婦。お互いがする質問と、その答えで、この本は進んでいく。
それらはたあいもないもので「もし朝起きて、私がクマになってたら?」とか「私が急に『一人で世界一周旅行に行く』って言ったらどうする?」といったもの。
答えてもらいながら、その答え以上にいい「何か」を受け止め、心の中につみ上げていく彼ら。
そして本の最後の質問。
「じゃあね、明日一日で地球がなくなってしまうんだとしたら?」
世界がなくなってしまうとしても、その人といっしょなら、なぁんにもこわいものはない。
そう思えることは、なんて幸せなことだろう。
そう思える相手がいる人は、なんて幸せな人だろう。
大切な誰かの顔を思い浮かべながら読みたい、大人にこそ読んでほしい絵本である。
(推薦・文 矢萩碧)
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