「チア・スピリットっていうのがあって、みんなに笑顔、元気、勇気を与えようっていう意味なの。それが、チアの基本なんだ」
「Go! Go! チアーズ」 工藤純子 ポプラ社
二学期から新しい学校に転校してきた早瀬夏樹。自分の居場所なんてどこにもない、とさびしい思いをしている夏樹は、班長が班員を選ぶというような班決めの方法ではどこの班にも入れてもらえないと、もっとさびしくなってしまう。そんな夏樹を班に選んだのは、やる気のなさそうな学級委員の岡野。頭がいいなら入れてやってもいい、という言い草には頭にきたが、同じ班にはとってもかわいいつかさちゃんもいて、少し安心……と思っていた夏樹だったが、早くもクラス内の女子の勢力争いに巻き込まれ、つかさが男の子だということにもショックを受け、気分は落ち込んだまま。夏樹のいる五年三組は、まとまりもなく、やる気もなく、居心地の悪いクラスなのだ。
そんなある日、秋の運動会の高学年の応援合戦で、五年三組はチアをやることになった。といっても、かわいいお洋服を着てポンポンをもって踊りたい、というつかさがリーダーになるというので、ほとんどのクラスメートは冷たい視線だ。夏樹もチアなんてやる気はなかったのだけれど、同じ班だからということで誘われて……
男の子だけどかわいいものやダンスが好きで、自分の夢に真剣なつかさ、読書家で自分というものをまっすぐもっている理香、勉強の虫でいい加減だけど、実はちょっといいところもある岡野、乱暴だけど姐御肌でさっぱりしている河原さん、とんでもない洋服を着てわがままな女の子のように見えて、実は気の弱いマッキー……などなど、夏樹の周囲にいるクラスメートは誰もが個性的。そんな彼らがひとつになっていく姿がすがすがしい。夏樹のこころの揺れも丹念に描かれ、実は泣ける作品でもある。
アメリカからの転校生がやってくる第二巻もお見逃しなく!
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