「あたしたち、行くはずのところへ行くのかどうかもわからない船に乗りこもうとしているわ。そして、行くはずのところがどこなのかも知らないのよ。あたしたち、光速よりも速く飛ぶわ。でも、それがどうやってなのか、だれも知らない」
「ゲイトウエイ」 フレデリック・ポール(矢野徹訳) 早川書房
金星付近の小惑星で発見された千隻あまりの宇宙船。どんな姿でどんな文明を持っていたのか、何もわからない謎のヒーチー人が残したその超高速船に乗って、未知の旅へと飛び出していく調査員たち。成功すれば莫大な報酬を得られるその反面、悲惨な死が待ち受けている場合も数多い。ヒーチー人のセッティングを変えることが不可能なため、彼らは目的もわからぬ旅にやみくもに飛び出していくしかないのだ。
物語はヒーチー船による一攫千金で大金持ちになり、現在はジークフリート・フォン・シュリンクという精神分析ロボットにかかっているロビネット・ブロードヘッドの、その精神分析の様子と、彼がいかにして調査員となり、一度目、二度目、三度目の旅へとでかけたか……という過去の様子が交互に語られる。母親や、眉の濃い女性に対して屈折した感情を抱き、ジークフリートの分析を厭い、ときには暴れ、子どもじみた悪意にかられるロビー。彼を苦しめた過去とはいったい何なのか。さほど経験もない彼が巨万の富を手にした、その旅とは。
おもしろい! これはシリーズものなのですが、この「ゲイトウエイ」(一巻)だけでも充分楽しめます。ただし、続きが出ていることを知っていたら、読みたくなるとは思います、ええ。じつはわたし、大学生のときにかなりはまっていました。が、そのときにはすなおにこの本が好きっていえない理由がちょっとあって……うん、でもね、いい話です! 矢野徹訳のせいでしょうか、読書中の雰囲気はなんとなくハインラインっぽかったり。そこはかとなく漂ってくるのはシーフォートを思わせるような、ええっと、だからさー……とりあえず、読んでもらえばわかります。ヒューゴー・ネビュラのダブルクラウン。絶対のオススメ。
オススメ文書くために再読して、またはまりましたもの。
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