「ジェラルドのゲーム」  スティーヴン・キング(二宮磬訳) 文春文庫

 本は手にとって選ぶべきである。他館からの取り寄せを題名だけでやってしまった結果、到着した本は
「季節はずれの山中の別荘。妻を緊縛してセックス遊戯にふけるはずだったジェラルドは急死、床に転がっている。バンザイの恰好で両手をベッドポストにつながれたまま取り残されたジェシーを、渇き、寒さ、妄想が襲う。そしてさまざまな"声"が彼女の思考に入りこんで……。ホラーの帝王・キングが描き出す究極の拘禁状態の恐怖!」
 という本だったのである(全文引用してしまった。著作権か何かにひっかからなければいいのだが)。
 ともあれ、そういうことです。本物の手錠につながれ、床に転がって死んでいる夫は入り込んできた野犬に喰われ、頭の中に居座っている声たちは彼女を責めたり励ましたり、過去の忌まわしい思い出に導いたりと、さまざまなことを押し付けてくる。肩はひきつり、尿意は増し、手首はすりむけ……なんていうか、ミザリーよりも究極の拘禁状態ですからね。このあたりはさすがキング。あんまりススメはしないけど、「ドロレス・クレイボーン」とのつながりを発見したときにはちょっとうれしい、ということだけは書いておこう。



ドロレス・クレイボーンへ
オススメ本リストへ