過去の出来事を掘り起こそうとすれば、取り返しのつかないことになる。パンドラの箱を開けるように、この学校は混乱の中に放りこまれるにちがいない。
        
      「クラスルーム」 折原一  理論社

 栗橋中学校3年B組の卒業生たちに、10年を節目とした同窓会の案内が届く。しかしそれは、かつて暴力的にクラスを支配していた担任の桜木と対決するために集まったメンバーたちにだけ送られていた。クラスにはいたはずのない長谷川達彦という差出人は、いったい何を考えてこんな案内を出したのだろう? 不審に思う佐久間百合のもとに、かつての学級委員青野や秋葉といったメンバーが現れる。彼らのもとにも同じ案内状が届いていたのだ。そしてよみがえる、不安と恐怖に彩られた中学時代。桜木と対決したあの夜、あの夜に起こったことはいったい何だったのだろうか……
 過去と現在を織り交ぜながら進む物語によって明かされる。10年前の真実。
 「タイムカプセル」では同じ栗橋中学の3年A組の面々が10年後に集う物語だったが、今度はB組。B組にしてみればA組は和気あいあいと楽しいクラスだったが、それでもタイムカプセル事件が起きた。ならば、問題ばかりあったB組の同窓会はいったいどのようなものになってしまうのだろう? 
 独立した話でありながら、「タイムカプセル」ネタが繰り返されているため、おそらくタイムカプセル未読の人にはちょっとうっとうしいかもしれない(が、読まなくても大丈夫ですよ、ほんと)。オチは相変わらずあっさりしているのだが、夜の学校とか、廃校になった学校とか、そういうネタが好きな人は好きかも。



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