早い日没を迎えようとする町並みを、僕らはゆっくりと歩いた。黙っていると、白い息だけがたなびいては、消える。鳥井はセーターのそで口をぐいぐいと引っぱり、手袋がわりにしようとしていた。うつむいた頭。覗くうなじが寒そうだ。僕は横から手を出して、コートの襟を立ててやる。鳥井は、僕を見る。子供のような視線。
     
       「青空の卵」 坂木司

 ひきこもりの鳥井と、そんな鳥井を少しでも外界にふれさせようと、あれこれ謎をもちこむ僕、坂木司の物語。
 ……特にオススメはしません(←おいおい)。いや、ミステリとしては、けっこういいネタもあると思います。登場人物も、気が強いけど傷つきやすい女性とか、ちゃきちゃきの江戸っ子じいさんとか、豪快な警察官とか魅力的な人がたくさん出てくるし、そういうところがきちっと書き分けられているのもいいと思う。
 でも、冒頭に掲げたシーンのあたりで、背筋がぞぞぞっとしてしまうのは……すみません、ダメです、こういうの。しかも、なんていうんでしょうね、モロに「女性作家が書いた男ふたり」っていうのが、もうダメ。"きもピュア"というフレーズが、くらさんのご感想にあったようなんですが、ドンピシャ。そしてわたしはこの"きもい"部分でコケてしまうのです。おそらく、もっとモロにJ○NEしてたら、読めると思うんです、自分。こういう中途半端さがダメなのかもしれない。
 ……ということで、一応感想だけこちらにあげておきます。すみません、これをオススメ文だと思って読んだ方には謝っておきます。ただまあ、こういう微妙に中途半端なJ○NE未満の男の関係が大丈夫でミステリ好きっていう人にはススメられるかもしれません。
 うーん。微妙。



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