戯れにめだかについて語ってみる
さて、めだかである。掲示板でもあれこれ語っていたのでご存知の方もいるのだが、元を正せば去年の夏すぎ。母が近所の人から数匹…六匹ばかりのめだかをもらってきた。そのときは本当に小さくて、白っぽいだけで模様も何にもないただの小魚。ところが、それが成長するにつれ、全身金色、真っ赤な尾っぽ、オレンジの縞模様の尻尾、豹柄、大き目の黄色と黒の水玉……とそれぞれ違った魚に育ってきた。ちょうど、彼らの姿がはっきりしたころ、フリマで開催されていたメダカ釣りで10数匹を釣り上げ、合流。釣ってきたメダカは弱っていたのか次々に死んでしまったが、それでも数匹が残り、そのころが最大13,4匹いたんじゃないかと思う。
しかし、釣ってきた「メダカ」と比べると、どう見ても、最初からいる「めだか」は模様がついていたりして、なんだか種類が違うみたい。これってグッピーとかいうんじゃあ? 金魚屋さんであれこれ眺めても、実はよくわからなかった。が、「これはグッピーと呼ぶことにしよう」と、彼らをグッピー、釣ってきたメダカはメダカと呼ぶことにした。
生物の時間に雄と雌の見分け方を習ったと思う。背びれが丸っぽいのが雌。ところが、我が家には10匹以上のうち、雌が1匹しかいない(しかもメダカ)。金魚屋さんは「雌だけはお売りしません」という紙を張り出しているし…しかたなく、雌二匹、雄二匹のグッピーが仲間入り。彼らは一様に胴が青っぽかったり尾びれが比べものにならないくらいにひらひらしていたりして、いかにもな「グッピー」だ。こいつらと比べたら、元からいたグッピーはせいぜい「グッピーめだか」としか呼べない。しかし、喧嘩したりなんかしながらも、彼らはそれなりに仲良くやっていた。
喧嘩といえば、魚の喧嘩を見たことがあるだろうか。噛みつくのである。よく見ると、襲われたほうの鱗がいくつか剥げてたりするので、けっこうな打撃なんじゃないかと思う。ひどい時には二匹がかりで一匹を苛めたりする。考えたら縄張り争いとかそういうものがあるはずなので(考えなくてもあるだろう)、三種類の魚がしかも時差ありで水槽の中に入れられていて、殺魚事件がおきても不思議ではない。当然のことである。
苛められすぎたのかなんなのか、弱い魚から順に消えていってしまった。小さ目のグッピー雌が死んでしまったのは痛かった。超いじわるなオレンジの尻尾をしたグッピーめだかが、あるとき元気すぎて外に飛び出し、死んでしまったのは悲しかったけど内心ほっとした。二番手だった豹柄がいばりだしたのには参ったけれど。
さて……そして、忘れもしない三月三日、ひなまつり。それなりに仲良くやっていた彼らは順調に卵もつけ、ついに透明な卵から子メダカが生まれた。細くて小さくて目だけがきょろきょろしているチビが二匹。翌日には四匹になり、ひと月が過ぎようとするころには四十匹を越えた(これはこれでまた問題)。しかも、グッピーの子ども生まれた。こちらは卵胎生というものらしく、母親のおなかから出てきた丸まっこい黒いものがピクン! とほどけて子グッピーになった。最初は十二匹で、いまは七匹になってしまった。増えことなく減る一方なのが残念だが、原因もよくわからないのでいまはただひたすら生き延びてくれることを(そして雌が中にいることを)祈るばかりである。大人もかわいいが、子どももかわいい。動きがひらひらではなく、つんつんとしているのが、なんともいえないのだ。
そして、二か月が過ぎようとしているが……いまだ、親と同じ大きさにはならない。いつになったら親と一緒にできるのだろうか。最初、子メダカは子グッピーの三分の一くらいしかなかった。だが、いまは三分の二くらいの大きさになったので、せめて子ども同士だけでも一緒にしてもいいかなと思い、試みに一緒にしてみた。……子グッピーが信じられないほど苛めた! ので、慌てて救出した。こんなに苛めっ子になって、しかも親の五分の一くらいにはなったんだから、子グッピーだったら親と一緒にできるかな、と思って親のほうの水槽に入れてみた。……親が集団で苛めた! ので、慌てて救出した(このときは子グッピーが恐怖のあまり石の間に入り込んでしまい、救出作業は難航した)。ううむ。問題は、これが「相手が小さいから苛めてみた」だけなのか「縄張り意識」なのか、である。もし親と子グッピーと子メダカが共存できないとなると、我が家には現在のごとく三つの水槽(正確には親の水槽、子どもたちはそれぞれバケツ)を置かねばならないのだろうか。それはなあ……ちょっと勘弁。
そういうわけで、いまは美容院だのなんだの、出かけるたびに「メダカいりませんか?」と養子先を探している。これまたけっこうむずかしい作業である。
2003年5月
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