戯れに年賀状について語ってみる
実は小学校の三年生のときから、年賀状は版画である。そのころからやりとりしている人々には、何巡りしちゃったことやら……それなりに上達した、と思ってもらっていればいいのだが(笑)。
まあ、それはさておき。
小学校のときの先生に年賀状を出している、というと、「へええー」と驚く人と、「だよねー」という人がいる。中学時代の先生にはあまりいい思い出がないので(苦笑)、出しているのは、小学校時代の先生2人と、高校1人、大学1人。ま、妥当なところ、なのだろうか。いや、それにしても、最初は失礼だったろうなあ……と思う。なにせずいぶん長いあいだ、
「あめましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
文面、これだけ。
いいじゃん、それだけで。
って思うでしょ? 思うかもしれませんね?
でも、たったそれだけが書かれた年賀状が200枚も来ているところを想像してもらいたい。それに返事を書く先生の苦労も。先生の方だって似たようなもので、
「あけましておめでとう。今年も頑張ろう」
くらいなんだけど、それを200回以上書く労力は……けっこう、大変だ。もしこれくらいなら、学校で会ったときに口でいえよ。って内心の思っているかもしれない。否、ほぼ確実に思っているだろう。イラストや版画などがあれば、まだ許せる。でも、白い地に黒いペンでただそれだけが書かれていると……
「ああ、この子、先輩に恒例行事だからって無理矢理書かされてるよな」
ってのがバレバレ。
そうなのです。
わたしは一時期、けっこう、こういう「義理で書いた先生宛て年賀状」を数多くもらっていて……ふりかえって自分を深く反省したのでありました。
そういうわけで、恩師宛て年賀状にはけっこう気を遣ってあれこれ書き込んだりしている……わたし。正月そうそう字が細かい、とか思われていなければいいのだが(苦笑)。いや、それほどでもないかな?
さて、実は今年、元旦年賀状をだいぶ減らした。
「お返事年賀状」というのを考えたからだ(いいわけにしか聞こえないのは何故だ……)。
この年になると、年賀状友だち、のような人もけっこういる。年賀状暑中見舞い友だち、だったり。そうすると、この数年のわたしとその人たちの年賀状の一部分はこうなる。
2001元旦
私「仕事を辞めてアメリカに行くことになりました」
2002元旦
私「夏過ぎに帰国の予定です」(アメリカより)
相手「いつまでアメリカにいるんだっけ? 3月に結婚することになりました」
2003元旦
私「10月に就職が決まって働いています。結婚おめでとう」
相手「もう日本に帰っているんだよね。何してますか。こちらは子どもが生まれて大忙しです」
2004元旦
私「3月末で仕事を辞めて、4月から東京を離れます。新米ママ頑張れ」
相手「図書館での仕事は楽しそうですね、頑張って。わたしは職場復帰しました」
それなりに話は通じているが、……かなり、すれ違っている。この二枚が同時に送られていることを考えると、笑えるほどだ。
っていうか、本当なら、もっと前に連絡をとればいいのである。それを、年に一度の連絡だけで近況を抑えようとするので、ズレが生じる。一年は長い。その間に何が起こるか、わかったもんじゃない。だいたい、こういうことだってありえるんじゃないか?
元旦
「新婚生活はいかがですか、きっと楽しいお正月でしょうね」
「離婚してまた独身に戻りました。遊びましょう」
ありえなくはない、サイキンのわたしのこの「年賀状オンリー」状態なら。
(それで思い出したが、年賀状で住所変更……旧住所で届く範囲内ならいいんですけどね。2月とかに越してないだろうな、とか思っちゃうことも…疑心暗鬼)
そこで考えたのが、「お返事年賀状」。
相手からもらった年賀状の近況にお返事を書く。そうすれば、ズレは少なくなる。とりあえずは、「離婚しました」に「楽しい新婚のお正月云々」はないだろう。
というわけで、先生や先輩などの目上の方々、メール等でしょっちゅう連絡が取れていて近況を把握している友人、以外の人は元旦まで待ってみた。「お返事年賀状作戦」って感じである。この画期的試みがうまくいくのかどうか、実はものすごーく楽しみだったりして。
――で。
結論的にいえば、変化のある人って実はそうはいない。ということだった(爆)。
子どもの生まれた旧姓Yさん、中国留学に行くTちゃん……には、「お返事年賀状」の面目躍如(日本語がおかしいかも)というところだったのだが、その他の方々には、単に「年賀状を元旦に届くように書けなかった失礼なヤツ」になってしまっただけ。
うーむ。いいアイデアだと思ったのだが。
しかも、我に返って考えてみれば、相手が「じゃあ、自分もお返事年賀状にしよう」とか思ったら、ふたりとも出さないままで終わってしまう、という重大な欠陥もあったのである……――
2004年。正月早々にコケてしまった。
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