" They can't make me be a waiter if I'm invisible, can they?"
The OGRE Downstairs Diana Wynne Jones
Casper、Johnny、Gwinnyの三兄弟は、とても不愉快な日々を過ごしていた。母親のSallyがとんでもなく意地悪なやつと再婚したからだ。彼、Jackのことを、三人はひそかにOgre(人食い鬼・怪物)と呼び、彼の連れてきた息子ふたり、MalcolmとDouglasのことも気に入らずにいる。そんなある日、Ogreがそれぞれの子どもたちのグループに、Chemistry setを買ってきたことから、事態は思わぬ方向へ。そのセットには、これまで見たこともないようなものが沢山あって、彼らは空を飛んだりできるようにもなったのだ――幸運な場合には。
問題は、どうしたらそれをやめることができるのかがわからないことと、どの薬品がどのような作用をもたらすかがさっぱりわからないこと。おかげで高いところにいるときに身体が重くなってしまったり、Casperが大嫌いなMalcolmと身体の中身が入れ代わってしまったり、Toffe‐barが命を持ったもののように動き回るようになってしまったり(これが悲惨な最後をとげるシーンには爆笑)大騒ぎ。こんなことになってしまったことをSallyはもちろんOgreになんていえるはずもなく、子ども同士、互いに反発しあい、自分の発見を隠しながらも急速に接近していくことになる。そしてある日、彼らの仕出かしたとんでもない出来事がきっかけで、母親のSallyがいなくなってしまった。彼女はどこに消えたのか? もしやOgreが何かしたのかも……?
両親の再婚で揺れる子どもたちの心を、かなりはっきりと描いた作品。とにかく、彼らのJack(Ogre)に対する憎しみは並大抵ではなく、大人であるわたしには最初、やや読むのがつらいほど。こういう話の行き先は大団円に決まってる、と思いはするものの、最後まで実はOgreってほんとに悪いやつなのかも! と思わせちゃう書きっぷりなのだ。
その昔、アメリカン・ヒーローというドラマがあった。スーパーマンセットを手に入れたのはいいが、その説明書をついうっかりなくしてしまい、手探りでマントやらなにやらの使用法を身につけていく男のコメディ。子どもたちが、いろんなものを加えたり、塗ったりなめたりして新たな作用を探していく様子はそれに近いものがある。
英語としては簡単なほう。児童書にはよくあるパターンだが、同じ単語が多用されるので、一度ひけばあとから何度でも使える(Age 8 upだしね……)。それにしても、この作者が宮崎駿「ハウルの動く城」の原作者だったのですね。帰国してから知りました……。
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